4、「三つ合」「四つ合」理論

次に私が習った合組の方法について書きます。
この「三つ合」「四つ合」は本来は碾茶の配合についての理論ですが他の茶種にも応用の利く理論です。
碾茶(それを挽いた抹茶)の合組は、基本的には「香り」と「味」と「色」の三つを配合しなさいという理論です。単独の碾茶荒茶で「香り」「味」「色(抹茶の挽き色)」の三拍子そろったものはなかなか無いですし、あったとしても非常に高価格です。
そこで、「味」「色」は普通だが「香り」の優れたものと、「香り」「色」は普通だが「味」の旨くて濃いものと、「香り」「味」は普通だが「色」が濃くて青いものを配合して三拍子そろった碾茶を配合するという技術です。どの茶をどの割合で配合するかは配合する人の研究分野です。
三つの内、一番難しいのは「香り」の茶です。「味」は人間の力である程度左右できるので一番たやすく見つけやすい茶です。「色」は気候風土と人間の力の合作なので、これも見つけることはそう困難ではありません。
「香り」は気候風土が作り出してくれるもので、人間の力で作り出すことが非常に困難なものです。
優れた「香り」の茶を探し出すことが「三つ合」の鍵となります。
「四つ合」は商売上の合組です。「三つ合」で三拍子そろった茶の合組が出来たとしても、商売上価格が高くて販売できない事や販売できても利益が出ないことがあります。そんな時に、「三つ合」の三拍子を保ったまま、価格だけを下げてくれる茶を「落とし」と云います。品質を下げないで、価格だけを下げてくれる茶が「落とし」です。
どの茶問屋でも「落とし」を使っていますが、何処のどんな茶を「落とし」に使っているかは問屋の企業秘密なので、絶対に教えてくれません。「落とし」を加えて「四つ合」ですが、その配合比率も企業秘密で、今迄書かれたことはほぼありません。
自分がこれだと思う「香り」「味」「色」「落とし」を使い、いろいろな配合を試験して、これだと思う合組を作り出すしか道はありません。

5、二割理論

「二割理論」は私が考えた言葉なので、正式な言葉ではありません。
「二割理論」とは、普通の一般的な品質の茶に、ある特徴のある茶、例えば「素晴らしい香りの茶」を配合するとします。その時、何%の「素晴らしい香りの茶」を配合すれば、その香りが感じられるか?確認することが出来るか?と云う最低割合の事です。
この二割理論は各自が実験できます。特徴のある茶と普通の茶を2gきざみで(2g:98g、4g:96g....38g:62g、40g:60g)、または3gきざみで(3g:97g、6g:94g....36g:64g、39g:61g)で配合し、浸出審査して何処で特徴ある茶が確認することが出来るかの実験です。
各個人の審査能力の違いでその境界線は上下するのでしょうが、多くの先人の教えでは、その境目は20%、二割だと云うのです。「素晴らしい香りの茶」を配合しても、10%や15%では効果を発揮することが難しいと教えています。
これとは逆の場合にも「二割理論」は適応できます。多くの荒茶を仕入れている茶店では、失敗して欠点のある茶を仕入れてしまう事や、毎年頼んで仕入れている生産者の茶園が霜に当たって品質の悪い茶が出来てしまう事が多々あります。此の欠点のある茶も販売しなければなりません。この欠点のある茶を何割迄なら配合しても元の茶の品質を落とさないで配合できるか、その最高割合も各自の実験で検証できます。先人はその最高割合は「二割」だと教えています。
私が茶業に入った時に教わったのは、「悪い茶を仕入れてしまったら、その10倍の茶を売らなければいけない。」という事でした。我店では悪い茶は一割しか配合したら駄目という教えでした。
欠点の度合いによってその境界線は上下しますが、二割を超えない方が無難です。


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