焙じ茶の研究

~きっかけ~

焙じ茶について調べを始めたきっかけは一本の電話でした。
令和4年3月に静岡市の友人から「焙じ茶は誰が発明したのか?焙じ茶は何時頃から飲まれ始めたのか?焙じ茶がお茶屋さんで販売され始めたのは何時ごろか?」という質問を受けました。静岡の友人は焙じ茶専門のお茶屋さんで一日500kgから1000kgの焙じ茶を製造しています。静岡市中には約100軒のお茶屋がありますが、焙じ茶を製造しているお茶屋はたった5軒で、その5軒で約100軒分の焙じ茶を賄っています。静岡市中では焙じ茶は完全に分業化されています。
京都では昭和の時代は問屋さんも小売屋さんも自分の所で焙じ茶を炒っていましたが、近頃では、商店街のお茶屋さんの店先で焙じ機が廻っているのを見かけなくなりましたし、茶問屋の傍を通ると風に運ばれた焙じ茶の香りが香ると云う事も少なくなりました。京都でも宇治田原などの焙じ茶専門屋さんに加工してもらっているお茶屋さんが増えたようです。
令和の現在ではお茶屋、スーパー、デパート、通信販売、等々お茶を扱っている所で焙じ茶を置いていない所はほぼありません。自販機にも焙じ茶のペットボトルが入っています。日本人の多くの人に知られ飲まれている焙じ茶ですが、「現在の焙じ茶の消費量はいくらか?」「焙じ茶は何時頃から飲まれているのか?」「焙じ茶がお茶屋で販売され始めたのは何時ごろか?」など、焙じ茶についての基礎的なことを誰も知りません。
お茶に関する本は多数ありますが、焙じ茶について書かれた専門書はありません。全国の多くの茶品評会には「焙じ茶部門」はありませんが、「日本茶AWARD」は「焙じ茶部門」を設けています。どこまで解明できるか分かりませんが、焙じ茶について研究したいと思います。


*月刊茶 2022年7月号・8月号掲載


 

焙じ茶の研究①

(1)インターネット
(2)引札と定価表
(3)江戸時代の引札
(4)明治時代の定価表
(5)大正4年(1915年)大阪の城南園茶舗の定価表
(6)茎焙じ茶の始まり

焙じ茶の研究②

(7)宇治かおる問題
(8)川柳
(9)江戸時代の川柳
(10)明治時代の川柳

焙じ茶の研究③

(11)川柳の仕立方
(12)川柳製の荒茶が無くなった訳
(13)焙じ機
(14)現在の焙じ茶原料