お抹茶のすべて 9-2 【「抹茶問屋の仕事」その3】

3、仕上げ
合組が終わると次は仕上げです。昔は、竹製の篩と簸出し箕を使って手作業で碾茶を薄葉に仕上げていました。現在では全て機械が仕事をしてくれます。
現在では、碾茶荒茶は製造工場で大まかに葉と骨に分けてあります。骨の中にも多少の葉が混ざっていますが、骨の中から葉を選りだす仕事は、非常に手間のかかる仕事です。しかも、骨より選り出した葉は、茎臭が強く、また骨と一緒に高温で後乾燥(あとかんそう)されているために、品質がその薄葉より2,3ランク下になります。そのために我社では、骨は別に保管しておいて、棚下の骨、初茶の骨、2茶の骨の3種にまとめて骨だけを仕上げします。


碾茶荒茶(葉)の仕上げ工程

①切断
碾茶荒茶の葉を切断機で切断します。切断網は6番か7番です。

②廻し篩
廻し篩で葉揃えします。これも網は6番か7番です。

③唐箕
唐箕で簸出します。重たい葉や葉脈は何度も切断と唐箕を繰り返します。

④電気選別機、色彩選別機
ものによっては、④を省略することもあります。

⑤練乾燥
乾燥機で煉乾燥をします。

⑥電気選別機、色彩選別機
ものによっては、⑥を省略することもあります。


4、臼挽きと抹茶篩
薄葉を石臼にかけて抹茶を挽きます。石臼には昔は宇治石が使われていましたが、現在はほとんどが御影石です。茶臼の直径も尺から尺五まで色々あったのですが、現在ではほとんどが尺一(約33cm)になっています。尺一の茶臼の上臼の重さは24、5キロあります。
茶臼の回転速度は1分間に50から60回転です。薄葉の品質や仕上げの大きさや茶臼の回転数によって違いますが、1台の茶臼で挽ける抹茶量は30gから50gくらいです。茶臼で挽けた抹茶を抹茶篩(60~80メッシュ)で篩って抹茶製品の出来上がりです。1台の茶臼の1年間最大挽き茶量は、40g×20時間×365日≒292kgで、最大でも300kgが限界だと思います。

5、品種のなかった時代の濃茶の仕立て方
現在では、同じ碾茶荒茶から濃茶とお薄を選り分ける仕上げをしている問屋は1軒もありません。また、その仕上げ技術を持っている人もほとんどいないと思います。
在来しかなかった時代の濃茶の仕立て方は、
①肥培管理が行き届き、覆いの厚い茶園で適期に摘採された原料を使う。
②1芯4葉で摘まれた葉の内、裾葉1枚は頭葉といって駄目です。1葉目も芽先といって折れで駄目です。
③中の葉、2葉と3葉の2枚だけが濃茶になります。
④2葉と3葉の内、葉脈は折れです。葉の先と元は駄目です。
⑤2葉と3葉の中央部の葉肉だけが濃茶になります。
⑥これを簸出し箕によって仕分けます。
という方法で仕上げされました。濃茶以外の部分は、薄茶、碾折れ(濃茶園煎茶、薄茶園煎茶)葉物、泥粉、撰屑、骨などに仕立てられました。


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